傾向と対策
商品開発競争の激化に伴う短期上市化が進む中、より高い戦略的な顧客価値を開発するだけでなく、商品開発案件ごとに利益確保が求められる環境になっております。今後とも企業における商品開発を取り巻く状況はますます厳しくなっていきます。従来の「経験」と「勘」を頼りに、競合企業を凌駕する顧客価値を設計し、商品開発計画を作成するには限界があります。現有の⼈材スキルを最⼤限に活⽤して、複数の商品を同時開発するにはデザイン・企画・設計・知財・製造などのスキル人材資源を、適正にテーマに配置するプログラム管理が重要です。単なるポートフォリオ管理ではなく、テーマを遂行するに必要十分な人的資源をダイナミックに割り当てながら、フロントロードを実践する必要があります。
よくある課題
課題1 研究開発と商品開発を確実にスピーディーに連動させたい
研究開発しているのに、なかなか商品開発で採用されないケースはいたるところで見受けられます、特に息の長い基礎研究ではなく、商品化を目指している応用研究開発の場合には、最初の段階から商品企画チームとともに顧客価値を設計しなくてはなりません。ところが、最初の目的とする顧客価値の設定が曖昧であったり、コンセプトが付け焼刃であったりして、商品価値に変換できないケースや、商品として開発してもすぐに市場淘汰されてしまうケースもみうけられます。
これらのケースでは、研究開発プロセスと商品開発プロセスがバラバラに実施されており、研究開発の成果を商品開発としてのプロジェクトに変換ができず、結果として商品化ができない場合が多く見受けられます。
ウェッブアイからのご提案
研究開発組織と、商品開発組織に対しての縦割り組織管理を廃止して、テーマごとにプロジェクト管理を実施できる連携PMO体制を提案しています。これは異なる組織横断的に研究テーマと商品開発テーマを最初の段階からマッチングするためのプロジェクト組織です。
ターゲットとしては、本設計に入るまでのアイデアから試作の段階までを扱うプロジェクトとして管理する組織体制です。この段階では、狙うべき市場や顧客プロファイルを明示して、研究開発と商品開発を同時並列的に実施します。狙いがブレやすくテーマが乱立しやすい研究開発のベクトルを定めて、ブランド形成を狙う商品群に継続的に寄与するように研究開発プロジェクトをデザインします。
これと同期して、研究・企画・開発・マーケなどプロジェクトを形成する全員に対するPM研修を実施しモチベーションを形成し、さらには失敗ワークショップ、顧客価値ワークショプを継続して行うことで、組織的なプロジェクト活動ができる体制に変革します。
これにより教育されたメンバーによって、少人数でも組織横断的なプロジェクトを形成して運用して、新たな普遍的であり、つぎの世界を切り開ける顧客価値を生み出す開発を狙います。
弊社では、この方法論を実践するための研修プログラムと、組織変革プログラムを用意しております。
課題2 商品開発のフロントロードを実践したい
全ての業界でアジャイル開発やフロントロードが言われてきて久しいのですが、現在では、製造物情報モデルとしてデジタルVRモデルの採用により、開発ブレークスルーが加速しているのが現状であり、全体としてアイデアから試作段階までの情報伝達の正確性は向上してきています。
その一方で、「開発テーマの目的設定」がいつまでもブレ続けることで、本設計以降のプロセスにおいての仕様変更や設計変更が出続けることも起こり続けています。この「開発テーマの目的設定のブレ」こそが、フロントロードにならない大きな原因です。それは縦割り組織により、個別の組織を「営業」→「企画」→「設計」→「製造」というように流れ作業で開発をするプロセススタイルにより生み出されます。
このような既存の縦割り組織を、横断的に流すプロセスにおいては、そもそも開発テーマが目的とする商品と、個別組織のエゴにより生み出される部門最適化のベクトルは相反します。そのために、開発テーマの目的は、プロセスごとに誤修正され、さらに組織間の伝言ゲームによって誤変換と誤解を生み出します。
ウェッブアイからのご提案1
まず開発テーマの目的を設定することが大前提になるのですが、弊社では世界中で利用されているパリュープロポジション分析を前提にした、ビジネスモデルキャンパスによる目的設定を推奨しています。これにより出来上がった「顧客価値を実現できる機能」が、開発テーマの目的となります。それが決まれば、機能をトップにしたミッションツリー分析を実施することで、明白なWBSが定義されていきます。顧客価値が何かを定義することは、すべてのビジネスモデルの基本であり、それを無視した商品開発は成り立ちません。また、顧客価値を実現できない機能など開発するに値しません。商品開発プロジェクトでは、必ず最初の段階において顧客価値と機能の相関関係を明白にして、なすべき作業であるWBSを定義するのが必須事項となります。
ウェッブアイからのご提案2
商品開発でも、開発に必要な全スキルを包括したプロジェクト組織の編成と、プロジェクトへの権限委譲こそが必要になります。もちろん個々人のスキルセットと経験がデータ化されていないと、どのようにプロジェクト組織を編成したら良いのか分からなくなります。まずは個人別スキルマップの作成が第一であり、その公開とアップデートをできる体制が必要になります。
次に、プロジェクト編成はプロジェクトマネージャーへの権限委譲により、必要十分な人的資源をアサインされることから始まるものです。縦割り組織主導の中途半端な人員アサインなどでは本当に開発が実行可能なプロジェクトチームにはなりません。さらに、実際のプロジェクト体制は、常にプロジェクト所属メンバーがこのプロジェクトによりスキルアップできるような体制であるべきです。それはスキルフルな人材の次世代への技能承継にもつながることだからです。
同時に、プロジェクトはすべての組織からキーマンを供出されており、経営目的に合致したプロジェクトとして発足するべきなのです。
課題3 複数の商品開発の上市計画を乱立せず必要な人的資源を適正に配置したい
企業ではたくさんの商品開発が同時におこなわれております。その開発テーマをそれぞれ単独で吟味するだけでは、企業としての商品戦略は上手くはいきません。個別のテーマは異なる市場と狙いで作られています。当然すべてが上手くいくならば問題はないはずですが、テーマによっては無理を承知での立案も存在しますし、ただ競合が出してきたことに対するだけの後追いテーマも存在します。
一方で、いかなる開発テーマでもできるハイスキル人材は育成に時間が掛かるために多くは存在しません。ここでは、今ある人員の総合的なスキルレベルと工数が企業にとっての、おおきな制約になってきます。つまり今いる人材を最大限有効に使える、チャレンジ可能なテーマをうまく選定しないことには、結果としての有効な商品開発は成り立ちません。やりたいテーマをテンコ盛りにして、総工数オーバー、必要スキル不足であるのに、それに目をつぶっても、成功どころかリコール対象になる商品を出しかねません。
ウェッブアイからのご提案
スキルベースのテーマ別の人材割り振り計画を、手動で立案することは愚の骨頂です。弊社では高度なスキルベーススケジュールエンジンを提供しております。これにより、テーマ別にスキル別の人材割り振り計画を合理的に作成できますし、必要であれば、最適化収束計算をおこなうことで、テーマ全体へのスキル人材の割り振りを最適化することも可能です。