傾向と対策

個別の企業は、その本来の存在意義や目的を社是やビジョンとしてかかげております。それは時に高邁であり、同時に摂理にそって現実的でもあります。それゆえ事業利益や採算性といった指標は、株式会社では査定対象となるKGIになりますが、実際の企業の存在意義からすれば、単なる必要条件にすぎません。単に事業利益だけを目的にしているだけの企業は、ともすれば従業員を使い捨て、従業員や顧客の幸福を考慮しません。それは結果として生産性の低下を招き、顧客価値の発見と新たな商品を開発するモチベーションも奪い去ります。企業は果たしてどのように事業承継をすればいいのか? 国内での右肩あがりの成長は人口減少によりもはや望めず、新たな成長ドライバーをどこに求めるのか? 事業全体の戦略において、事業利益や採算性を改善する基本的な要因はなんなのか?

よくある課題

課題1
経営スタイルはどのように変革されるべきか?
課題2
採算性を改善するにはどのような取り組みが有効なのか?
課題3
時間投資はどうするのか?
課題4
「価値投資の変革」はどのように行えば良いのか?
課題5
「組織制度の変革」はどのように行うべきか?

課題1 経営スタイルはどのように変革されるべきか?

経営効率を上げることばかりが果たして企業の生き残りに有利なのか? 基本的な企業目的のひとつは「顧客価値を創造し続けて社会に貢献し、新たな冒険をし続ける会社にする」ことであり、同時に「その会社の従業員が人間らしく働いて、幸せになる」ことではなかったか?それをするにはどうするべきか? という問題提起こそが総合的な企業価値を増大することにつながるのではないか? ではどうするのか?

ウェッブアイからのご提案

以下の4つの改革を実施することで、あるべき企業の姿に近づくと想定しております。

「価値投資の変革」

顧客価値を創造し社会に貢献し続ける冒険できる会社にする。

このためにこそ事業利益率は改善され、事業採算性は向上されるべきであることを認識するべきです。社会に貢献できないような事業はいずれ淘汰されます。顧客に価値をうまない商品もいずれ淘汰されます。会社組織の都合でなく、さらにその原点にある社会と人間と環境に貢献することが、一流企業の社是として採択されておりますが、なぜか目的と手段が逆転していることが多いのが実情です。事業利益は株主や従業員だけでなく、価値投資として、あらたな社会価値を生み出すために投資されて還元されていくべきものです。このために有効なプロジェクトを生み出すことこそ、第一の変革です。

「時間投資の変革」

無駄時間を排除し時間投資を改善して働く人の生産性を向上する。

企業活動では、あまりにも多くの無駄な時間が費やされています。そのほとんどは情報探し、人探し、伝達ミスや変換ミス、さまざまな手戻り、発売後のリコール、作業待ち時間、果ては無駄な残業にいたるまで、多くの企業では無駄時間管理をないがしろにしています。特に、無駄時間を撲滅して、それを有効な価値創造のための再時間投資の源泉に変えていくという、シンプルな時間投資を実践していないケースが多数あります。これが第二の変革です。

「組織制度の変革」

裁量性の高い仕事スタイルで自ら意図的に働くことで働く幸福度をアップする

すでに人間が裁量性の高い行動により幸福感を感じることは様々な企業実証実験の結果から明らかですが、裁量性労働を単なるサービス残業制度とはき違えるような低レベルの企業すら存在する昨今です。この本質は、創造性を求める事業であれば、従来の平安時代から続く縦割り組織を排して、従業員の評価指標を改めて、仕事をしている間でも人が成長できるようにする組織運営をめざすことです。これが第三の改革です。

「評価制度の変革」

評価指標を多様化して仕事時間で働く人が成長できるようにする

人のスキルを評価して計測することは、人に任せるかぎり困難でありますが、基本的には多様性を保持するという戦略が、もっとも効果的であることは40億年にわたる生物の進化過程の実証からもあきらかです。企業が人材の多様性を担保するには当然ながら、異なる多様な評価制度が必要になります。単なる実績や年功などという単一評価では、環境の変化に適応可能な人材の多様性は確保できません。これが第四の改革です。

 

 

課題2 採算性を改善するにはどのような取り組みが有効なのか?

経営理論からは、「利幅を増やす」「回転率を上げる」の二つが基本的な採算性の改善の2つの手法であることは間違いありません。競合や自社の環境がそれをゆるすかどうかが問題になるだけなのです。

ほとんどの企業では、新たな顧客価値=市場価値を追い求めて、つぎつぎと新製品を世に出しますが、それらの採算性をしっかりと管理できている企業は稀です。また、成長期にたくさんの品種展開をして、その後売れなくなって採算性がわるい商品を終売できないで売り続ける企業もたくさんあります。無駄な不良在庫を抱える企業もたくさんあります。

そのような企業では、大企業であるほどトップの意思を、実際の現場作業に翻訳できずに、計画ばかりで具体的で効果的な手段は考察されず、絵に描いた餅で終わっています。

それは、トップの意向が最後の中間管理職をとおして担当まで伝わらないという事実こそが原因であることに、トップも気が付きません。おおざっぱな命令だけで見様見真似でなんとかやっていける昭和時代はもはや過ぎ去った過去であることを理解できない管理職や、個人の業務スキルセットを管理できないなら仕事はわりふれないという現実をしらない管理職が、いまだに存在することが企業にとってのリスクであり、もはやダメージを生み出していることに気が付かないのです。

ウェッブアイからのご提案

事業レベルから実務作業レベルにまでいたる階層的なミッションツリーは古くても確実な方法です。ただし、管理職や担当との合意形成をどれだけ緻密に実施できるかがキーポイントになります。ここでは時間投資を利用して、組織階層を単純化することと、目的別のプロジェクト組織化を提案します。目的別のプロジェクト組織によって、戦略的な個別ミッションは確実に作業に落とし込まれ、リアルタイムな作業管理を可能にできます。ルーティンワークには縦割り組織で十分ですが、変化の激しい顧客対応や、戦略テーマにはプロジェクト型の組織運営を提案しております。

 

 

課題3 時間投資はどうするのか?

だいたいどの企業の現場にヒアリングしても、「いつも忙しい」という答えが返ってきます。この「忙しい」は、どの組織でも共通な現場の悩みでしょうが、いわゆる無駄時間が常態と化して、無駄が堆積しても、それを抜本的に変革しない組織は特にその傾向が顕著です。本来のミッションなど20%もできない状態になっていることもあります。ルーティンワーク組織であってもこの傾向があれば、その企業はかなりの疲弊に陥っているといって差し支えありません。

無駄時間の削減ができて、余剰時間ができたのに、これをさらなる改善や開発に再投資できないで、反対に人減らしをしてしまうケースがみうけられます。これも時間投資をしないのと一緒です。企業全体でみれば、SKUの絞り込み、終売管理ができないで、保守時間、保守部品が増加する一方なケースも同じでしょう。まずは無駄時間をなくして、投資できる時間を確保する必要があります。

ウェッブアイからのご提案

時間管理をするには、日々の作業を個人が管理できることが前提になります。それは、すべての時間資源は、個人に帰属しているからです。個人の時間を単なるタイムカードや残業管理は、時間管理としては大雑把なものです。個人とプロジェクトのWBS(作業)が連携して、全体として優先度の高い仕事を、その個人の一番効率のよい時間帯に実施するスケジュールができるように管理するのは、ルーティンワークであっても同じです。

個人の生産性は、裁量性の高い仕事によって増加していきますので、その個人裁量性を実現しながらも、全体最適な目的に合致するような作業スケジュールを立案していく必要があります。そのために、すべての従業員の作業がリアルタイムで見える化できることがまずは必要になります。その上で個人スキルに応じた作業選択の裁量性を許せば、生産性はあがります。

弊社「トルネード」は個人のスケジュールと、全体スケジュールを調整しながら時間を管理して無駄をなくすソリューションのひとつです。

 

 

課題4 「価値投資の変革」はどのように行えばよいのか?

まずは価値創造する対象がなくては意味がありません。それは顧客価値を追求するところからはじまります。企業がそれぞれ独自に、ターゲットを決めて顧客価値を追い求めています。問題なのは、「ターゲット(目的)は明確に定義できているか」です。ターゲットと顧客価値が明白なら、その結果がどうあれ、次につながります。その顧客価値が、競合優位という程度の相対的なものでなく、普遍的で絶対的な価値であれば尚更です。価値開発の失敗で避けるべきは、半端なターゲット設定と、あいまいな価値定義であり、なにより必須なことは、プロジェクトメンバーの意思(思い)が合致していることに他なりません。

ウェッブアイからのご提案

価値開発プログラム管理、価値開発プロジェクト管理、価値判定ワークショップをご提案します。研究段階にせよ、商品開発のプロトタイピングの段階にせよ、それ自体は個別プロジェクトであるには間違いありません。そのためには個別の「価値プロジェクト管理」が必須になります。つぎに、それらが複数テーマ存在して、それに対しどのように投資をするかを調整しなくてはならないのが、経営層の仕事になります。そのためには、「価値開発プログラム管理」が必要になります。

最後に、実行を採択されているプロジェクトの予想採算性や実現可能性の数字は揃っていて当たり前ですので、それだけを見ても意味がありません。価値を構築する場合、作り手、売り手、買い手の価値をすべて考えてあるかが必要になります。

AIが価値開発しているのではなく、人間が価値開発をしていることが前提ですので、「価値判定ワークショップ」では、価値開発しているプロジェクトチームがターゲットとする価値のコンセプトとに対する、意思(思い)をどれほど深く共有しているかを判定しなくてはなりません。その判定は手法というよりも、矛盾を内包した価値開発をどうやって乗り越えるかを、役員自らがチーム全員の意思を感じ取る必要があります。

 

 

課題5 「組織制度の変革」はどのように行うべきか?

裁量性の高い仕事スタイルで、従業員が自ら意図的に働くことで働く幸福度をアップするならば、結果として従業員の生産性は上昇します。そのためには、縦割り組織の弊害を排して、従業員の評価指標を改めて、仕事をしている間でも人が成長できるようにする組織運営をめざすにはどうすればよいか?

ウェッブアイからのご提案

「プロジェクト型組織運営」を提案いたします。

まず、本来的にプロジェクト型組織運営に向いているのは、研究・商品開発、一品受注型製造、装置エンジニアリング、などの分野です。

一方、日々のルーティンワークを主要業務とする従来型(縦型)組織であるならば、その組織は残すべきですが、前述した企業の死命を制する研究・商品開発などのプロジェクト型スタイルとの混合運用になりますから、いわゆるマトリクス組織の運用をしなくてはなりません。

マトリクス組織では、プロジェクトに任命される担当やリーダーが、もともと本籍を置く従来型組織(人事権をもつ)のミッションとの間で、板挟みになることは避けられません。それをあえて実施するためには、プロジェクトの推進役が人格と熱意でそれを遂行せざるを得ないことになります。さらに本籍をもつプロジェクトのメンバーはプロジェクト管理のノウハウを否応なく身につけざるをえないのです。マトリックス組織を運営することは、次世代のプロジェクトリーダーを実践的に養成することを目的にしないかぎり、企業としての投資価値がありません。

 

 

全ては、お客さまの「プロジェクトの成功」のために

世界中の現場で”Good job ! ”という言葉が飛び交い、「マネジメントする喜び」が溢れる。私たちは、お客さまと共にプロジェクトマネジメントのあるべき姿を追求し続けます。

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