日本文化を加味したPREGARE Orarioの特徴-2.工種の適用・会計基準の切り替え

工種による工数、原価の予算実績対比機能
欧米諸国では、ABC、ABMといった管理技法が存在する。
アクティビティ(作業)単位に、予算実績対比を実施し、目標の予算を達成が目的であることはもちろんのこと、次期プロジェクトの見積もり精度を向上させるための基礎データ収集を可能としようとする試みである。
しかし、日本においてこのABCやABMが成功しているという事例は少ない。
これは欧米諸国と日本における商習慣の相違から派生しているものと考えられる。
欧米諸国のプロジェクト
欧米諸国(特に米国、欧州では日本風の商習慣を保有する国も存在する)においては、スコープを明確に定義し、成果物の構造をステークホルダー間で合意形成したのちにプロジェクトがスタートする。
よって、プロジェクトの最中に成果物構造やアクティビティ(作業)が大きく変更されるケースは少ない。
よって、各アクティビティに設定した予算と実績を継続的に対比することが可能になる。
日本のプロジェクト
ところが、日本の商習慣では、完全なるスコープの合意が形成されていないままに、プロジェクトがスタートする。
プロジェクトを進行させながら、ステークホルダーとの合意形成を平行的に実施し、プロジェクト中期もしくは、それよりも遅いフェーズにて合意を形成していく。
そのために、プロジェクトを構成するアクティビティ(作業)は、プロジェクトスタート後も、発生、削除、統合、分割を継続的に繰りかえす。
発生、削除、統合、分割を繰り返す流動的なアクティビティにおいて、予算と実績を対比することは困難であるがゆえに、日本においてはABC、ABMがなかなか実現しなかった。
しかし、日本においても、なんらかのプロジェクトよりも細かい単位にてデータを集約することにより、再利用性の高い情報を残したいという要求は強く存在した。
そこでPREGARE Orarioでは、流動性の高いアクティビティ(作業)とプロジェクトの中間地点に不変の要素である工種を設定することができるように設計されている。
工種の例
工種の例としては、
調査
分析
企画
概念設計
基本設計
詳細設計
実装
単体試験 ・・・・・・
といったものであり、これらの工種とアクティビティは階層的にリンクが形成できる。
各アクティビティ(作業)を遂行するために計画され、実行される工数は、この工種を単位に集積することができ、予算実績対比も可能となる。
工種という中間単位を持たせることにより、従来日本では実施が困難と言われていたABC、ABMと同様の効果を生み出すことができるようになった。
EV法と原価比例法の切り替え
欧米諸国における会計基準としては、EV法が一般的に利用される。
日本における会計基準としては、検収基準が採用されてきたが、プロジェクトの進捗を計る技法としては、建設業界、IT業界を中心に工事進行基準に移行しつつある。
工事進行基準には、上記したEV法と原価比例法が存在する。
EV法は、成果物毎にアーンドバリュー(出来高)を指定し成果物進捗を管理する技法であるが、多くの日本企業は原価比例法を選択する場合が多い。
そこで、PREGARE Orarioでは、EV法と原価比例法をオプションで選択することができるようになっている。