日本文化を加味したPREGAREの特徴-1.プログラムマネジメント

日本におけるプロジェクトマネジメントシステムの利用は、欧米各国に比較すると大きく遅れている。

とはいえ、日本のプロジェクトマネジメント自体が遅れているとは決して思えない。

むしろ、日本のプロジェクトマネジメント技術、ノウハウは、諸外国を圧倒している面も大きい。

それにも関わらず、なぜプロジェクトマネジメントシステムの利用がなされてこなかったという問いに対する最大の回答は、日本人が単一プロジェクトを採算の対象として認識してこなかったからだという仮説を立てることができる。

欧米と日本の違い

欧米各国では、プロジェクトの独立性が高く、個別のプロジェクトの遂行に対して係る必要な権限と責任が与えられることが多い。

よって、欧米で確立されたプロジェクトマネジメントシステムやプロジェクトマネジメントメソドロジーは単独プロジェクトのマネジメントとコントロールを遂行することを目的に設計されている。

これは、日本発で考案されたP2MがPMBOKに先だってプログラムマネジメントを体系づけたことからも十分にその背景が伺える。

これから言えることは、プログラムという概念は米国で発祥したものだが、プログラムをしっかりと体系づけたのは日本人の方が先だったといえる。

すなわち、日本人は、単体のプロジェクトではなく、有機的に結合する複数のプロジェクトの集合体であるプログラムに対する採算意識が高いのであって、プログラムという単位を意識したマネジメントを潜在意識の中で要求しているからに他ならない。

「プログラム」と「マルチプロジェクト」

プログラムとマルチプロジェクトが混同されることが多いが、プログラムはマルチプロジェクトよりも抽象度の高い概念であり、実存する複数のプロジェクトを合成することがマルチプロジェクトであるのに対して、実存するプロジェクトがひとつも存在しない状況下においてもプログラムは存在できる。

たとえば、「新世代ビークル開発」というプログラムが設立された当初は、プログラムの目的と予算、納期が先行して定義され、追ってそのプログラムを構成するプロジェクトが徐々に定義されていくことがありうる。

PREGAREは、このようなプログラムとプロジェクトの関係を適切に表現できるように設計されている。

プロジェクトがひとつも存在していなくても、先行してプログラムというオブジェクトを定義し、そのプログラムの属性として、目的、予算、納期を指定することができる。

追って、該当するプログラムに従属するプロジェクトを定義することができ、プロジェクトの実績は集計されて、プログラムの予算と対比することができる。

複数プログラム設定機能

PREGAREでは、複数のプログラムグループを設定することができる。

例えば、製品プログラムグループ、組織プログラムグループ、地域プログラムグループという三つのプログラムグループが存在するとすれば、

製品プログラムグループ

              自家用車プログラム

                            調査プロジェクト1

                            企画プロジェクト2

                            試作プロジェクト3

              トラックプログラム

                            調査プロジェクト4

                            企画プロジェクト5

                            試作プロジェクト6

              バスプログラム

                            調査プロジェクト7

                            企画プロジェクト8

                            試作プロジェクト9

組織プログラムグループ

              調査部プログラム

                            調査プロジェクト1

                            調査プロジェクト4

                            調査プロジェクト7

              企画部プログラム

                            企画プロジェクト2

                            企画プロジェクト5

                            企画プロジェクト8

              試作部プログラム

                            試作プロジェクト3

                            試作プロジェクト6

                            試作プロジェクト9

地域プログラムグループ

              東日本プログラム

                            調査プロジェクト1

                            企画プロジェクト2

                            試作プロジェクト3

                            調査プロジェクト4

                            企画プロジェクト5

                            試作プロジェクト6

              西日本プログラム

                            調査プロジェクト7

                            企画プロジェクト8

                            試作プロジェクト9

 

のように、階層的なグルーピングをすることができる。

経営としては、製品、組織、地域といった異なるセグメントからプロジェクトの状況を把握し、意思決定の材料としていきたい。

PREGAREは、このような複数プログラムグループをモデリングすることができる。

歴史的にみて、欧米のプロジェクトマネジメントは、建設業界や防衛産業において発祥した。

かつ、独立したプロジェクトの管理を主体として発展したために、上記したような例にみられる長期的な視点での複数プログラムグループという概念が希薄だった。

そのため、欧米で開発されたプロジェクトマネジメントシステムにもこれらの設計思想は見当たらない。

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執筆者プロフィール
森川勇治
代表取締役社長/早稲田大学・フェリス女学院大学非常勤講師

1960年生まれ、神奈川県横須賀市出身、早稲田大学理工学部工業経営学科卒業。
現在 株式会社ウェッブアイ代表取締役社長、フェリス女学院大学国際交流学部国際交流学科非常勤講師、早稲田大学創造理工学部経営システム工学科非常勤講師。
日本ボウラーズ連盟会員、国際P2M学会員、日本経営工学会員、日本オペレーションズ・リサーチ学会

1984年 三井造船株式会社入社
1986年 アルテミスインターナショナル株式会社入社
2000年 株式会社ウェッブアイを設立(現在従業員100名)