ご検討の背景
日立建機株式会社様では、約4年のサイクルで新機種の開発を行っており、複数機種の開発プロジェクトが並行して実施されるために、開発部門では計画作成や要員負荷管理の改善に取り組む必要がありました。過去にも何度かプロジェクト管理ソフトを導入しましたが、ソフトウェア自体や体制的な問題から定着せず、期待した成果を得るには至らなかったとのことです。このため、実務者は各自のPCにある表計算ソフトを使って工程を管理するようになりましたが、表計算ソフトによって開発管理を行うことの限界や問題が次第に顕在化したため、再度プロジェクト管理システムの導入を検討されておられました。
主な課題
複数の新機種開発プロジェクトが同時進行することによる問題
- プロジェクトの完了時期、コスト、品質が見えない
- プロジェクト間での要員負荷調整が必要であるが計画に対応した負荷が把握できない
- プロジェクトが予定通りに進まず、進捗の確認と計画の更新負担が大きい
表計算ソフトによる管理の問題
- 担当者ごとに作成方法が異なる
- 計画の更新ができない
- 資源負荷、要員負荷が見えない
ウェッブアイからのご提案・実施内容概要
各部門の開発工程表をPREGARE Orarioで共有
新機種の開発は複数の部門が関連するため、開発工程表を複数部門で共有したいという要望がありました。そのため自部門の担当する作業の計画を工程's Orarioで作成し、PREGARE Orarioに登録および共有することで、各部が他部門の計画を参照し機種ごとの計画の調整を行い、最終的には開発計画を確定することを提案しました。
プロジェクトの成果
プロジェクト管理システムの効果と今後
日立建機様では以前にも工程管理ツールを導入されましたが、定着しなかったとのことで慎重に導入を検討されておりましたが、以下の点よりPREGARE Orarioと工程's Orarioの導入を決定されました。
- 操作が容易で使いやすい
- 計画に対応した複数資源の負荷が即座に見える
- 最新の日程情報を一元管理することで共有化が 実現できる
- コンサルティングやサポート体 制に対する評価
当初ご懸念されていた定着率についても問題はなく、計画制度が細かく変更の多い製造系の部署においては1日数回の頻 度で適宜計画を更新を行い、関係部署は最新の現場計画を即座に参照できるようになりました。
また、始めは計画の作成と調整、そして全体開発計画を関係部署に周知することを主眼にシステムを運用していましたが、その後運用を拡大し製造部門における要員の作業負荷の可視化も行うようになりました。工程's Orarioでは、計画に連動して資源の負荷状況を表示できることから、 表計算ソフトでは不可能であった要員能力を踏まえた実行可能な計画の作成が行えるようになりました。 現在は更に適用を広げ、進捗状況の管理、製造部門の空き(負荷)状況確認ツールとしても利用しています。 以前に比べ仕様の個別化が進展したため開発する機種数が増えており、従来の表計算ソフトによる管理では到底実現不可能であった、緻密で高度な計画検討が迅速に行えるようになりました。
具体的な効果としては、以下の効果がありました。
- 工程調整会議の効率化と高精度化
– 2時間超の会議を1時間未満に短縮 - 工程表作成の効率化
– 計画の詳細化、更新頻度の上昇、作成・更新時間の短縮
- ボトルネック工程の明確化と解消
– 試作段階では、見えなかったネック工程(検査工程)を明らかにし、ネックを解消
- 日程シミュレーション機能による日程変更の影響評価
– 日程変更による後工程へのインパクトがすぐに分析でき、遅延発生前に各部門が自発的に努力し、納期を守るようになった
- 表計算ソフトの弊害解消
– 他者にはわかりにくい自己満足的な工程表の排除
– 1度書いたら変更できない工程表の排除
– 管理用と報告用の工程表作成の2度手間の解消
現在は、日立建機様の主要製品である中型油圧ショベルの開発プロジェクトの日程と負荷の管理を主体にご利用いただいておりますが、今後はほかの製品の開発プロジェクトにも適用するとともに、管理の内容を工数の予算管理などにも広げていき、グループ会社様への利用も推進していきます。(2006.9月当時)
ご提供したソリューション・サービス
工程管理ツール「工程's Orario」
未だに、多くの人が表計算ソフトを使用して工程計画を管理されています。工程計画はプロジェクト管理を行う以前に企業の業務を行う上で最も重要な業務であるにもかかわらず、いまだに作成手順や管理手法が属人的になってしまっているのです。
「工程's Orario」は、従来からの工程設計者の試行を妨げることなく、多角的な視点から最善の工程設計を行うことを可能にするWindowsアプリケーションです。企業内の計画情報のシステム化を促進し、プロジェクト計画のレビューや共有・再利用を可能にすることができます。
EPMシステム「PREGARE Orario」
PREGARE Orarioは、企業レベルの統合的なプロジェクト管理(エンタープライズ・プロジェクトマネジメント)を目的としたプロジェクト管理パッケージ(Webアプリケーション)です。研究開発・設計部門から、製造・生産部門、保守部門にわたる幅広い組織、部門における様々な計画の日程管理、予算・コスト・進捗管理、要員・設備の負荷管理、計画の実績・バージョン管理等にご利用頂けます。