2009年度 冬季ユーザー会 開催報告
2010年2月10日(水)ザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)におきまして、下記の通り、冬季ユーザー会を開催致しました。
ユーザー会終了後にはウェッブアイ主催による創立10周年記念懇親パーティーを行いました。
当日のプログラム
○ ユーザー会 (14:00-17:00) 2.事例発表 『工程’s Orario・PREGARE Orario 使用事例紹介』 『放射性廃棄物の地層処分事業に関する事例』 『計画管理を支援するソリューションのご紹介』 3.先進的システム活用事例 『プロジェクト型基幹業務支援システム ハイパー・プレガーレ』 ○ ウェッブアイ 創立10周年記念懇親パーティー(17:15~19:15) |
開催レポート
まずはじめに、ユーザー会会長の日立建機株式会社 開発・生産統括本部 事業戦略室DE推進部 主任技師 柏木様より開催のご挨拶を頂きました。
ご挨拶の中で、日立建機様における工程’s Orario、PREGARE Orarioの利用状況についてご紹介がありました。日立建機様では、建設機械の開発において、コンカレント設計力、なかでも、部門間協業力の強化に工程’s Orario、PREGARE Orarioの貢献が期待できると考え、まずは「試作工程の見える化」を狙いとして工程’s Orario、PREGARE Orarioを導入されました。導入後は、部門間のスケジュール共有および調整の円滑化、ボトルネックの見える化、重大トラブルの未然防止、会議時間の大幅短縮など、確実に効果がでているとのことです。詳細は、次回以降のユーザー会で事例発表として報告できる見込みとのことでした。
事例発表では、5社のユーザー様ならびに協力会社様よりご講演をいただきました。また、限られた時間ではありましたが、参加者の方々からご講演内容に対する具体的なご質問があり、活気あるやりとりが交わされました。
続いて最初の事例発表は、千寿製薬株式会社 開発本部 開発戦略部 部長 益田様による「工程's・PREGARE 使用事例紹介」でした。
このご講演では、まず千寿製薬様の会社・事業紹介から始まり、製薬企業および医薬品に関する基礎知識、新薬開発の流れ、医薬品開発プロジェクトマネジメントの課題についてご説明いただきました。
千寿製薬様では、工程表の不統一、部門間のスケジュール調整の難航、スケジュールと予算がリンクしていない、予算や工数が不明確など、多くの課題を抱えておられ、これらを工程’s Orario、PREGARE Orarioを利用した研究開発マネジメントの再構築によって解決すべく取り組んでいらっしゃるそうです。
また、現在の工程’s Orario、PREGARE Orarioのご利用状況と効果的なスケジューリングの具体例についてもご紹介いただきました。
千寿製薬様が目指す研究開発マネジメントシステムにおいて、テーマの可視化(初期計画・現状把握)には工程’s Orario、テーマの情報共有と部門間のコミュニケーション改善・促進にはPREGARE Orarioがそれぞれマッチすると考え、導入を決定されました。
まだ、部分的に着手した段階とのことですが、最終的にはスケジュール管理、要員計画、前払い費用管理に工程’s Orarioを利用し、それらの情報をPREGARE Orario上で統合し、コスト予算/実績管理ができるようにしたいそうです。
最後に、実際の医薬品開発プロジェクトを例にどのようなマネジメントを実践されているかご紹介いただき、出席された皆様にも工程’s Orario、PREGARE Orarioによって開発予算をスケジュールと連動させる仕組みがわかりやすく伝わったようでした。
これまでの経緯を振り返り、「システム導入するも根付かせるのは時間が必要、現場にいかにやる気にさせるかが課題」とおっしゃっていたのが印象的でした。
このご講演については、会場から「工程’s Orarioの利用を定着させるにはどうしたら良いか」とのご質問があり、益田様から「必要なライセンスを確保し、ユーザーがシステムを利用しやすい環境を提供することが重要である。」とのご回答を頂きました。
2番目は、原子力発電環境整備機構 技術部 処分技術・性能評価グループ 課長代理 鈴木様による「放射性廃棄物の地層処分事業に関する事例」についてのご発表でした。
鈴木様からは、原子力発電環境整備機構様(以下、NUMO様と記述)の行っている放射性廃棄物の地層処分事業のご紹介に始まり、開発中の要件管理システム(RMS:Requirement Management System)の概要および工程’s Orarioとの連携についてお話いただきました。
今日、日本における原子力発電は電力需要の変化の影響をうけないベース電源として、全電源の1/3を担う重要な存在となっていますが、一方で使用済核燃料からでる放射性廃棄物の処理が重大な問題となっているそうです。
原子燃料サイクルの過程で出る廃棄物がガラス固化処理された後、一次貯蔵を経て地層処分される流れや、地層処分の際に用いられる人工バリアの仕組みについて、わかりやすくご説明をいただきました。
さらに、お話は開発中の要件管理システム「NUMO-RMS」へと移りました。
NUMO様では地層処分事業の持つ特殊性(長期に渡り、様々な調査を行いながら多岐にわたるデータを扱い、段階的に推進していかなければならない)に対応するため、一般の要件管理システムとは異なる独自のRMSを構築する必要がありました。
NUMO-RMSには拡張機能として、意思決定業務の管理、変更管理、技術文書管理、業務工程等のスケジュール管理(工程’s Orarioが適用可能)、技術開発課題の管理が搭載されます。
さらに、システムの利用イメージについても、業務プロセスをモデル化したものを組合せてWBSを構築し、それをワークフローと結びつけるといった具体的な手順に沿ったご説明をいただきました。
そして、将来は工程’s Orarioを利用した工程管理との連携実現に向け、前向きに検討したいとのことでした。
また、ご発表後の質疑応答にて「変更発生時のインパクト分析にも工程’s Orarioを利用する考えはありますか」との問いに対し、これから工程’s Orarioを使い込んでいく過程で可能性は十分にあるというお答えをいただきました。
休憩の後、3番目は、株式会社インフォファーム 取締役事業部長 大友様、同じく戦略ソリューション事業部 プロダクト営業部 東様、システムソリューション事業部 吉田様による「計画管理を支援するソリューションのご紹介」でした。
ここでは、ウェッブアイ製品の応用事例として、インフォファーム様が自社開発された4製品「戦略箱」、「Bird’s View」、「Piko-Fit」、「プロディレ・ウェラブルTouch」のご紹介ならびに工程’s Orario、PREGARE Orarioなどとの連携ソリューションについてお話いただきました。
まずは、インフォファーム様の4製品の概要について大友様よりご説明がありました。
続いて、吉田様より「プロディレ・ウェラブルTouch」について、東様より「戦略箱」、「Bird’s View」、「Piko-Fit」についてそれぞれ詳しくご説明いただきました。
「プロディレ・ウェラブルTouch」はウェアラブルタイプの作業支援システムです。
これにより、生産現場・検査現場で各工程に沿った作業指示をiPodで確認をしながら作業することができるようになります。
複雑で専門的な知識を要する作業を行う際に適しており、工程’s OrarioやOTRS(※1)で作成した工程表やマニュアルを見る際に利用することができます。
「Piko-Fit」はICタグとPDA端末を用いた設備備品管理システムです。
工程’s Orarioで作成した工程表を資材や工具の台帳として利用することにより、生産現場における資材や金型の所在管理、整備工場における整備工具の管理などに活用することができます。
「戦略箱」はSFA/CRM(※2)のパッケージです。ここに登録した営業案件の情報をPREGARE Orarioに取り込むことにより、プロジェクト情報との連携ができます。
例えば、受注確度が高いものから需要を予測し、効率の良い生産計画をたてることが可能になります。
「Bird’s View」はいわゆるBI(ビジネス インテリジェンス)ツールで、これによりPREGARE Orarioに登録されたプロジェクトの情報を取り出し、分析や図表化ができるようになります。
このように、それぞれに特徴のある4製品と工程’s Orario、PREGARE Orarioの連携による応用事例のご紹介に、出席された皆様も高い関心を持たれたようでした。
なお、インフォファーム様とウェッブアイは協業関係にあり、今回紹介された製品をウェッブアイでも取り扱って行く旨のご説明が会場からの質問に応える形でありました。
最後に株式会社ウェッブアイ 代表取締役社長 森川より、先進的システム活用事例として「プロジェクト型基幹業務支援システム ハイパー・プレガーレ」についてお話させていただきました。
ハイパー・プレガーレとは、PREGARE Orarioを機能的にさらに拡張して利用したいというお客様のご要望にお応えする形で、現在、数社の企業様との協業により開発を進めている新製品で、現行PREGARE Orarioに販売管理機能・購買管理機能を付加し、管理会計機能を大幅に強化したERPに近い概念を包括するシステムです。
その最大の特長は、財務会計のサイクルに影響を受けることなく、期中であっても必要なときに管理会計のレポートをスピーディーに作成することができる点にあります。
また、業界、業種によってダイナミックに変る多彩なセグメンテーションに対応でき、さまざまな切り口によるデータ分析ができる強みを持っています。
さらに、KPI(※3)の評価・分析、企業戦略へのフィードバックにより、経営の意志を末端組織にまで浸透させるためのプロアクティブな管理会計を実現することができます。
このハイパー・プレガーレの登場は、従来のPREGARE Orarioの可能性を飛躍的に拡大させるものとなることでしょう。
今後はこのハイパー・プレガーレ、PREGARE Orario、そして以前ご紹介したエリシオンを統一したコンセプトの下、ユーザーの皆さまにご提供できるよう製品ラインアップを整備して参ります。
詳しくは別途、次回以降のユーザー会にてご紹介することとし、発表を締めくくりました。
※1:OTRSはウェッブアイが販売している作業映像の分析による作業改善ソフト
※2:SFA(Sales Force Automation; 営業支援システム)/ CRM(Customer Relationship Management; 顧客情報管理)
※3:KPI(Key Performance Indicator; 重要業績評価指標)
ユーザー会終了後は、別会場にてウェッブアイ主催による創立10周年記念懇親パーティーを行いました。
パーティーは、ユーザー会のご出席者に新たにパーティーから参加されたお客様が加わり、約80名の方々にご参加いただき、盛況な会となりました。
冒頭、日立エンジニアリングアンドサービス 堀内様より、ウェッブアイ 森川ならびに取締役 戸本に対する花束の贈呈とこれまでの10年間に対する労いの言葉を頂戴するというサプライズもあり、来場された方々からも暖かい拍手をいただきました。また、お馴染みとなったビンゴ大会も大変盛り上がり、参加された皆様はそれぞれに楽しい時間を過ごされたようでした。
ユーザー会事務局より
今回も多数の皆様にご参加いただきましたことを大変嬉しく思っております。
事例をご発表いただいた皆様、また、ご参加いただきました会員の皆様、どうもありがとうございました。併せて、ウェッブアイ主催による創立10周年記念懇親パーティーにもご参加いただきましたこと、心より感謝申し上げます。
また、パーティーにてご協賛品、お祝いの品を頂戴した会社様にも重ねて御礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
以下は、当日行ったアンケート回答の一部ですが、開催内容について約90%の方から「大変満足」、「満足した」とのご回答をいただくことができました。
事例発表については「大変参考になった」というご意見を多数いただきましたが、中には「もっと踏み込んだ話が聞きたかった」といったご意見もあり、参加者の皆様の関心の高さを感じるとともに、事務局としましては今後、さらに開催内容のレベルアップを図っていきたいと思っております。
2009年度のユーザー会開催は今回で最後となりますが、来年度もユーザーの皆様の視点で魅力ある有意義なプログラムを企画して参りたいと思いますので、どうか引き続きウェッブアイ、そしてユーザー会をどうぞよろしくお願いいたします。
ユーザー会の活動内容や今後の企画に対するご意見、ご要望などがございましたら、随時事務局までご連絡ください。お待ちしております。
株式会社ウェッブアイ ユーザー会事務局(担当:山本)
Eメール:user-kai@webi.co.jp TEL 03-3570-2391