2010年度 秋季ユーザー会 開催報告

2010年9月10日(金)~11日(土)、青森県上北郡六ヶ所村におきまして、下記の通り、秋季ユーザー会を開催致しました。

当日のプログラム

■1日目

○ 施設見学 六ヶ所原燃PRセンター (10:15~11:35)
  午後からのユーザー事例発表でのご講演をいただくことになっている日本原燃株式会社様の、ウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設センター、再処理工場などの「原子燃料サイクル施設」を紹介した模型や映像、パネル等をガイドの方のご説明とともに見学。

○  昼食 レストラン「フォレスト」(スパハウス「ろっかぽっか」)(11:50~12:50)

○ ユーザー事例発表(13:30~17:30)

『分析業務の見える化』
  株式会社INAX 総合技術研究所 IBA推進室  

   室長         井須 紀文 様

『再処理工場の設備点検における工程情報共有化に向けた取り組みについて』
  日本原燃株式会社 再処理事業部 再処理工場 保修部 電気保修課  
   主任         加藤 大樹 様

『工程’s OrarioとRealProの連動による工程管理のビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)への発展』 
  株式会社リアルナレッジ  
   代表取締役       秋池 治 様

『プロジェクトの進捗の可視化と管理支援と定着化』
  日本SGI株式会社 技術統括本部 技術企画管理室  
              今野 龍也 様

『新機種開発業務への工程管理ツールの導入とその効果について』
  日立建機株式会社 事業戦略室 DE推進部  
   部長         柏木 伸夫 様

○ 懇親会 古牧温泉「青森屋」 (19:00~21:00)

■2日目

○ 施設見学 青森県立三沢航空科学館(午前:希望者のみ)

開催レポート

今回はユーザー会発足以来、初めての1泊2日の日程ということで不安と期待とが入り混じる中での開催でしたが、おかげさまで県内外より多くの会員企業様にご参加いただき、大変盛況な会となりました。この場をお借りして、あらためてご参加いただいた皆様、会の開催にご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

当日(9月10日)、朝、三沢空港に到着された方々は、まず六ヶ所原燃PRセンターをご見学いただき、スパハウス「ろっかぽっか」のレストランでご昼食をおとりいただいた後、ユーザー事例発表の会場である六ヶ所村文化交流プラザー「スワニー」へと移動していただきました。途中のご昼食、事例発表会場にて、野辺地および青森方面からお越しの方々が合流され、参加者は総勢44名となりました。

展示された原子燃料サイクル施設の模型

展示された原子燃料サイクル施設の模型

センター2階からみた六ヶ所村の風景

センター2階からみた六ヶ所村の風景

事例発表では、5社のユーザー様ならびに協力会社様よりご講演をいただきました。また、限られた時間ではありましたが、参加者の方々からご講演内容に対する具体的なご質問があり、活気あるやりとりが交わされました。

ユーザー事例発表の様子

ユーザー事例発表の様子

ユーザー事例発表の様子

そして終了後は、参加者全員で古牧温泉「青森屋」へと移動し、懇親会となりました。由緒ある温泉旅館が会場ということで、いつものユーザー会とは違った落ち着きのあるリラックスした雰囲気の中、ユーザー様同士、ユーザー様とウェッブアイ社員との交流を深めることができました。

懇親会の様子

懇親会の様子

2日目はあいにくの雨天となりましたが、近隣の施設を見学するなど、参加者の皆様それぞれに充実の時間を過ごされたようです。ご参加いただいた皆様、本当にお疲れ様でした。

以下は当日行ったアンケート回答の一部です。今回は初めて泊りがけでの開催となりましたが、開催地、会場について開催内容について約80%の方から「大変満足した」、「満足した」とのご回答をいただくことができました。

開催地・会場について

開催地・会場について

ユーザー会事務局より

ユーザー会事務局では今後も皆様にとって有意義な活動を企画、実行して参りますので、ご意見、ご要望などございましたらご遠慮なく事務局までお寄せくださいますようお願い申し上げます。
株式会社ウェッブアイ ユーザー会事務局(担当:山本)
Eメール:user-kai@webi.co.jp TEL 03-3570-2391

ユーザー事例発表レポート

「分析業務の見える化」
 株式会社INAX 総合技術研究所 IBA推進室 室長 井須 紀文 様
 (2010年度 ウェッブアイユーザー会 会計監査)

株式会社INAX 井須 様

株式会社INAX 井須 様

井須様には、INAX様の会社・事業紹介、本社のある愛知県常滑市のご紹介等に続き、IBA推進室が抱える問題点とその解決のために行われた取り組みについてお話しいただきました。
IBA推進室は社内他部門からの依頼に応じたさまざまな分析・評価や新規コア技術の探索を担当する部門とのことです。
こちらでは2008年5月にウェッブアイがご支援させていただき、依頼分析受付システムを導入していましたが主に作業費用集計を目的とした利用に留まっていました。
そこでシステムの利便性を向上し、メンバーにとって利用しやすいものとするためにINAX様が行ったのは、「分析業務の流れの明確化と各工程の可視化」に対する徹底した取り組みでした。
その結果、それぞれの仕事に必要なインターフェースが見えるようになってきたとのことです。
本年5月にバージョンアップされたシステムでは、依頼分析の進行状況をリアルタイムで把握できるよう、入力画面や検索機能を改善したり、納期の一覧を表示するなど「依頼と納期の見える化」を実現しました。
また、納期遵守100%という明確な目標を掲げたことにより、メンバーの納期意識が高まり、現在は99%で推移しているとのことです。
この成果をステップとして、今後は工程’s Orarioの本来の機能を活かした生産管理にも取り組んでいきたいとのことでした。

「再処理工場の設備点検における工程情報共有化に向けた取り組みについて」
 日本原燃株式会社 再処理事業部 再処理工場 保修部 電気保修課 主任 加藤 大樹 様

日本原燃株式会社 加藤 様

日本原燃株式会社 加藤 様

加藤様には、日本原燃様の再処理工場がある六ヶ所村のご紹介に始まり、原子燃料サイクルと再処理工場の概要、再処理工場における保修作業および電気保修課の設備点検工程の特徴、これまでの工程管理の取組みと今後の目指す姿についてお話いただきました。
再処理工場の保修作業における設備点検業務の特徴は、膨大で多様な機器を対象とし、複雑な制約条件のもと、多くの協力会社と連携をとりながら行わなければならない点にあるそうです。
特に電気設備の点検では、作業中、電気の供給をストップさせるため、他の設備の点検工程に多大な影響を与えることとなり、さまざまな調整でご苦労されていたとのことでした。
そこで、まず電気保修課にて工程’s Orarioを導入し、改善を試みたところ、工程の変更や調整がしやすくなっただけでなく、コンストレイントの設定により工程間の制約条件が一目瞭然となる等、工程作成作業の品質が大幅にアップしたそうです。
また、資源情報を入力することにより、いつ、どこで、誰が作業しているのかが明確になり、協力会社との資源競合の調整もしやすくなりました。
また、次のステップとして、保修管理課と協力しつつ、PREGARE Orarioを使った全社および協力会社も含めた工程情報の共有と一元化という理想に向け、昨年12月より準備を開始し、今年2月~3月に保修部(保修管理課、電気保修課)において試行をされました。
そこで、さらに大きな手応えを得ることができ、システムの有効性を実感することができたとのことです。
今後、理想の工程管理を実現するためには、社内にPREGARE Orario、工程’s Orarioの有効性を広く浸透させつつ、保修部とピックアップした一部の協力会社との試行において工程情報の一元化の成功例を作りたいとのことでした。

「工程’s OrarioとRealProの連動による工程管理のビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)への発展」
 株式会社リアルナレッジ 代表取締役 秋池 治 様

株式会社リアルナレッジ 秋池 様

株式会社リアルナレッジ 秋池 様

リアルナレッジ様は、業務を可視化、構造化することにより俗人化を回避し、企業のパフォーマンスアップをサポートする専門コンサルタント企業です。
秋池様より今回のご講演でご紹介いただいた製品「RealPro」はウェッブアイが今年6月、東京ビッグサイトにて開催された設計製造ソリューション展に出展した際、工程’s Orarioとの連携機能を中心にご紹介させていただいたものです。
工程管理には納期および予算の超過を回避するという目的の他に「プロセス改善」というもう1つの視点が重要であること、そしてプロジェクトとプロセスの継続的なフィードバック(連携)によってプロセスが進化を遂げ、会社のベストプラクティスとしての「社内標準プロセス」が形成されていくというお話は大変興味深いものでした。
こうした「プロセスの進化」により、単なる工程管理からビジネスプロセスマネジメントへと発展するためには、プロジェクト領域とプロセス領域の2つの軸の存在が必須であり、工程’s Orario、PREGARE Orarioによる工程管理とRealProによる課題管理、ドキュメント管理の連携がいかに重要であるかを理解することができました。
最後は、RealProと工程’s Orarioのシステム連携についてデモによりご説明いただきました。

「プロジェクト進捗の可視化と管理支援と定着化」
 日本SGI株式会社 技術統括本部 技術企画管理室 今野 龍也 様

日本SGI株式会社 今野 様

日本SGI株式会社 今野 様

今野様には、日本SGI様の会社概要に続き、プロジェクトマネジメントにおける課題とそれに対して行った施策、今後の目標についてお話いただきました。
今回ご講演いただいた、プロジェクト進捗の可視化と管理支援の定着化活動におきまして、今野様は、昨年、社内のアワードを受賞されたとのことです。
所属されている技術企画管理室ではPMO担当として、全社的なプロジェクト支援、PM支援、プロジェクトマネジメントの標準化推進などを行っておられます。
日本SGI様ではプロジェクトマネジメントが個人に依存し、十分な知識もなかったことから、納期やエスカレーションの遅延、コストの増大などさまざまな問題を抱えていましたが、それらを共通ルールの策定と標準化の推進によって解決しようと取り組まれました。
ご講演では、そこで実施された具体的な施策のうち、「プロジェクトマネジメントガイドの策定」と「プロジェクト/PM支援」について詳しくお話いただきました。
「プロジェクトマネジメントガイドの策定」においては、PMBOKをベースにスタートしつつ、ヒアリングや勉強会を経て次第に自社に適応する形にカスタマイズしていかれた過程がよくわかり、参加者方々にも大いに参考になったのではないかと思われます。
また、「プロジェクト/PM支援」では、進捗管理システムとしてPREGARE Orario、工程’s Orarioを導入し、PMOが若手PMの担当するプロジェクトをピックアップし、これらのシステムの活用によりマネジメント支援を実施されたとのことでした。
その結果、2009年8月~2010年3月の期間、支援を実施した4つのプロジェクトすべてが納期遅延、コスト超過をすることなく計画通り完了できたそうです。
また、会場からのご質問に対し、多くの工程管理ツールの中から工程’s Orarioを選択した理由として、入力がしやすく手軽に素早く工程表が作成でき、修正も楽にできるという点を挙げておられました。
今後の目標としては、プロジェクト可視化の推進と不良プロジェクトの撲滅、PM力強化のための教育・指導の実践、部門間コミュニケーション円滑化のファシリテーションを行っていきたいとのことでした。

「新機種開発業務への工程管理ツールの導入とその効果について」
 日立建機株式会社 事業戦略室DE推進部 部長 柏木 伸夫 様
 (2010年度 ウェッブアイユーザー会 会長)

柏木様からは、日立建機様の会社紹介に続き、工程’s Orario、PREGARE Orarioの試行導入から本運用までの流れ、導入の効果についてお話いただきました。
日立建機様での工程’s Orario、PREGARE Orarioのご利用状況につきましては前回のユーザー会(今年2月)にもご報告がありましたが、今回はさらに詳細な内容をお話いただきました。
遡りますと、日立建機様でプロジェクト管理選定ツールWGがスタートしたのが2007年12月で、そこで弊社の工程’s Orarioの導入をご決定いただきました。
決め手となったのは日本SGI様と同様「使いやすさ」とのことでした。
その後、2008年6月~12月の試行導入を経て、想定した通り、工程計画作業および工程会議の改善に手応えを感じ、本運用へと踏み切られました。
その際、工程表作成時間および会議時間の短縮について、定量的な効果予想をされました。
そして本運用では、新機種開発を担当する部署の開発計画立案と進捗入力を行う課長および主任クラスにツールの利用を徹底させることで、予想以上の効果をあげることができたそうです。
具体的には、工程の見える化、スケジュールの共有、作業負荷の調整により部署間の調整がスムーズになったこと、山積みグラフによってこれまで見えにくかった検査工程の許容作業量オーバーによる工程遅延などのボトルネックが見えるようになったこと、PREGARE Orarioの計画レポートを利用した進捗フォローにより大きなトラブルを未然に防げるようになったこと、工程表作成時間、会議時間が大幅に短縮(120分→20分)されたことなどを挙げられていました。
また、社内で実施されたツール利用に関するアンケートからも、確実にツールの利用が定着し、その有用性も認められているという結果がでていました。
さらに、初めて工程’s Orario、PREGARE Orarioを利用される方に向け、必要な社内申請、手順、ツール利用方法などの情報を集約した運用サイトをイントラネット上に立ち上げてフォローを行っている点は参加者の皆様にも大いに参考になったのではないかと思われます。